LGBT当事者orアライによるレポート。前回につづいて今回は性と性格についてです。

男らしさ、女らしさってなに?この質問に100点満点の答えはないと思います。正解がないからです。今回はこれに言及した100年以上前の本を見てみたいと思います。
※一部女性にとって不快な内容が含まれます。あくまで一意見としてお読みください。

『性と性格』の論旨

『性と性格』の概要については、前半の記事を参照してください。(セクシュアリティに言及した本 前編参照

著者ヴァイニンガーの主張はこうです。人間は誰しも男性的形質と女性的形質を兼ね備えている。その割合は人によってまた年代によって異なっているが、本質的には、全ての人間は男性または女性である。
つまり例えばゲイの男性は男性に惹かれているため、女性的形質の割合が多い。しかし彼は本質的には男性であることには変わりはない。と言った具合です。
上記の同性性欲やユダヤ人などに触れながら、男性的形質と女性的形質つまり男らしさと女らしさとは何かを説いているのが『性と性格』です。

女性的形質とは何か

では彼の主張する女性的形質とは何か、以下に彼のいう女性的形質をいくつか羅列してみます。

・自我(意思)をもたない
・論理的思考ができない
・性欲が強い
・身体が美しくない
・非生産的である

どうでしょう。現代にこの主張をした人がいれば大バッシング間違いなしですよね。
男性的形質はこの逆であり、論理的思考ができ、個をもっている、身体も美しい高度な存在です。

なぜこの主張に至ったのか

現在この本を読むと、なぜヴァイニンガーはこのような極端な女性蔑視の思想に行きついてしまったのか不思議でなりません。
当時、女性は家庭に入り子供を育て、男性は外で働くことが当たり前でした。また大学で学ぶことや、政治を行うのもほとんどが男性でした。

つまり、女性が自分自身の意見を言う環境がほとんどなかったのです。
このような環境が要因となり、彼は以上のような思想になったのではないかと思います。逆を言えば家の外で活躍する女性は、彼の目には男性的にうつっていたのかもしれません。

ちなみに「女性の身体は美しくない」という主張ですが、ダヴィデ像などの彫刻は男性の肉体美を表しているものの、女性のこのような彫刻作品はないから、というのが理由なようです。

最後に

ヴァイニンガーによればすべての人間は男性的形質と女性的形質を持ちます。彼自身が主張する女性的形質を彼自身が持っていて、それを認めたくない自己ともしかしたら戦っていたのかもしれません。

私自身この本を読んで以降、ますます男らしさ女らしさがわからなくなりました。実際に彼の主張がどこまで真実かもわかりません。100年以上前の古い本ですが、すごく考えさせられました。
 
前の記事でも触れたように、当時は伝統的な男女以外の存在が認識され始め、社会全体が混乱していたことがあるのだと思います。少しずつですが、男らしく女らしくに捉われず“自分らしく”という生き方が受容されるようになってきています。
この動きがもっと進めばいいなと、個人的には思います。