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7月21日、アメリカのプロバスケットボール協会であるNBAが、ノースカロライナ州で開催を予定していた来年のオールスターゲームの取りやめと開催地の変更を発表しました。その原因は、今年3月に同州で制定された「トイレ法案」。NBAは、この法案に対して抗議の意思を示すためにゲームの開催を取りやめました。
ではこの「トイレ法案」とはどういったものなのでしょうか。

トイレ法案=出生証明書に基づいた身体の性のトイレを使用することを義務付ける

トイレ法案は「トランスジェンダーが公共のトイレを使用する際、心の性ではなく、出生証明書に基づいた身体の性に基づいたトイレを使用すること」を義務付けたものです。
ノースカロライナ州内にある、シャーロット市が「LGBTの人々が性自認に応じたトイレを利用できるようにする」とした法案を制定したことに反対する形で成立しました。

トイレ法案はアメリカ中で物議を醸すこととなりました。ただのトイレ問題ではなく、LGBT全体に関する寛容や理解の問題へと発展していったのです。

オバマ政権はトイレ法案に反対

トイレ法案に対して、合衆国政府は非難する姿勢を取っています。
オバマ政権は「トランスジェンダーを辱め、差別するものである」といった趣旨の声明を発表、さらに合衆国の公民権法に違反するとして、提訴しました。
この動きに賛同するように、いくつかの都市もトイレの利用に関わる法案を制定しました。ニューヨーク市では性自認に基づいたトイレの利用を認める行政命令を出し、フィラデルフィア市は民間企業に対し、トイレに性別を区別しない表記をするように指示しました。

しかし一方で、ノースカロライナ州の動きに賛同する動きも出てきています。
「トイレ法案」に似た内容の法案を検討している州は少なくとも13州あり、さらに10州が「宗教の自由」を掲げた法案を検討、宗教上の理由でトランスジェンダーの採用を会社側が見送ることができるような体制を作ろうとしています。
ノースカロライナ州も、提訴した政府側を逆に提訴。政府の提言を「根拠のない、行き過ぎた干渉である」としています。

NBAはトイレ法案をめぐる論争に一石を投じた

法案成立当初から長く続く論争に新たな一石を投じた、NBAの判断。
オールスターゲーム中止について、NBA側は「トイレ法案」が廃止されれば、2019年のオールスターゲームはノースカロライナ州で行うとしています。予定地がLGBTフレンドリーなシャーロット市だったこともあり、今回の判断は大変遺憾なものだったようです。

アメリカは2015年に全州で同性婚が可能となりました。
しかし、トイレ法案の制定からもわかるように、まだまだLGBTへの理解が浸透しているとは言えません。
トイレ法案をめぐる論争は今後も続くとみられています。

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こあせんせー
早稲田大学法学部卒のストレートアライ。
時事ネタ、法律関係が得意。趣味は将棋とモノポリー。