LGBTの中でもトランスジェンダーの就活生や転職希望者はカミングアウトをして働く場合に、企業に配慮を望むことがあります。配慮の内容はトランスジェンダーといっても一人一人違いますし、それがどこまで対応できるかは企業によっても異なります。
また企業では、カミングアウトをして働いているトランスジェンダーの社員は少ないので具体的にどのような配慮をすればいいのか分からないケースもたくさんあります。
基本的には、トランスジェンダーの就活生・転職希望者が望むのは自認する性別の尊重です。それでは具体的にどんなことを企業に伝えれば良いのでしょうか?
今回は就活や転職時にトランスジェンダーが企業に望む配慮についてご紹介します。
自認する性別・通称名の登録の希望
トランスジェンダーの就活生や転職希望者が企業に望むのは自認する性別の尊重というものがあります。
MTFであれば女性として、FTMであれば男性として、自認するセクシュアリティを認めてほしいということです。認めるとは、まずは企業の社員名簿への登録上の話があります。法律の要請上、男女をわけて管理が必要な場合があります。そのため企業では社員の登録には性別が紐づいているケースが多いです。
また通称名の使用を希望する場合もあると思います。通称名の使用というのも社員名簿の登録に関係してくるので、性別の登録とあわせて伝えたほうがいいです。
なお企業によっては、戸籍上の性別と自認する性別の両方が同時に登録できないなど、システム上の制約から希望の登録が難しい場合もあります。
どこまでできるかは企業との相談になります。
服装の希望
トランスジェンダー就活生・転職希望者の中には服装の希望がある人も多いです。服装の希望といっても、戸籍上の服装全般がNGという人、戸籍上の服装のうちスーツがNGという人、自認する性別の服装が着たいけれどスーツだけはNGという人などいます。
いわゆるオフィスカジュアルなどかなり自由度の高い職場もありますが、そういう職場でも営業職をはじめとして、社外の人とあう部署or社外の人とあう場合はスーツ着用という企業もあります。
特にMTFの場合などは髪形なども含めてしっかり希望を伝えてみましょう。
トイレや更衣室などの希望
トイレや更衣室というのももっとも多い希望の一つです。自認する性別のトイレを使いたいという人、誰でもトイレを使いたいという人、戸籍上のトイレでいいという人などいろいろな人がいます。同時に治療中の場合は、外見の変化に応じて変えていくのでも良いという人もいます。
トイレや更衣室の場合は、トランスジェンダーの就活生や転職希望者の希望を聞きつつも、同時に周りの同僚がどう感じるか?ということも考える企業は多くあります。
トイレも更衣室も設備の問題で、企業としても簡単に対応できない場合もあります。
トイレなどは非常に大切な部分なので、しっかり自分の希望を伝えると同時に、企業と話し合いをしてどういう形なら実現できるかを探していくことが大切です。
LGBTの中でもトランスジェンダーの就活生・転職希望者が企業に望む配慮事項についてお伝えしました。気をつけなければいけないのは、伝える言葉として「自認する性別を尊重してほしい」という言葉だけでは不十分です。具体的にどうしてほしいのか?ということも伝えることで、実際に入社した後のギャップをなくし、働きやすい環境になっていきます。そのために具体的に望むことを、選考前に書きだしておきましょう。
同時に、希望を伝えても100%希望が通る企業ばかりではないという現状を理解して、どこまでなら自分の希望を下げられるかも考えておくことも大切です。